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9月5日(日)快晴
【泣いても笑ってもこれで3日間最後の観戦】
3:30起き。最後の観戦場所、SS22の新得へ出発。ギャラリーステージの最前列をキープ。左隣りも右隣りもプレスのようなので、絶好の撮影ポイントらしい。スタート直後のストレートから、目の前で左コーナー、そのまま林の中へ入り、もう一度左コーナーを曲がって消えていくまでを見ることができる。今日のスターティングリストを手に入れていなかったので、DJだけが頼りだったのだけど、お姉ちゃんの甲高い声は肝心な部分が聞き取れず、選手名を聞き取ることはあきらめて、バズーカ砲でスタート待ちの車を凝視し、カラーリング・車両から見当を付けるしかない。
日本人選手の上位陣を見送り、サービスに間に合わなくなってしまいそうだったので、途中でこのSSは切り上げる。帰る途中の市内の様子は、沿道に地元の人から、地方から見に来たギャラリーからがプレートを持ったり、旗を振ったりの歓迎ぶり。
屋台まで登場する騒ぎに驚いてしまう。前を走っているのはサインツ。信号で止まるとワ〜っと運転席に人が駆け寄る。海外でもこんな風かはわからないけれども、ラリー車が迎えられているように思えて、嬉しくなってしまった。
【誰もが真剣だからこそドラマが生まれる】
9:45頃にサービス到着。ソルベルグのテント前で待つ。やがて戻ってきたペター、車を降りるとまず待機するファンの前へ顔を出し、「オハヨウゴザイマス」と挨拶。ファンを大事にしてくれる性格に、長時間待っていた身としては本当に嬉しい。やがて20分のサービスを追えてまた次のステージへ。プジョーのロバンペラの車がまだ帰ってきていないような気がして、プジョーのテント前でまた張り込み。自分のテント前で待っていてくれるギャラリーのところへは様々なグッズを配りに来る。
最初はプジョー307のポスター。続いてプジョーシールブック。グロンホルムが出て行ってしまったので、グループNスバル勢のテントを見学に行くと、勝田車がまさに整備中。時間内に終了し、デメカの拍手を浴びて我々の前を去って行く。
知り合いの名古屋スバルのメカニックが、「勝田さん、順位を上げてきているよ」と言うので、大体いまのポジションでゴールかな? 作業を終えたデメカスタッフ達が、一斉に移動するので、何事かと後を付けていくと、まだサービス中の他のチームを囲み、熱心に作業を見守っている。
目の前にはCUSCO、炭山選手のインプレッサ。そうしてまだ整備中のチームを、他のチームが囲み、更に見守るギャラリーも加わって輪が出来ている。
メーカーも何も関係なく、スバルメカニックが居て、向こう側では三菱のつなぎを着た集団の姿もある。もうあとOUTまで2分を切ったというのに、まだマフラーは地面に転がったまま。アンダーガードを持っている人も。大丈夫かなと見ているこっちまではハラハラしてくる。時間ギリギリでマフラーが装着されて、行ける!と思ったら、まだラジエーターが残っていた。時間オーバーしてしまい、周囲の緊張感も更に上がる。ジャッキダウンした車両を、桜井監督自らがコースまで押し出し、飛び出していくNO.44カー。
この瞬間、周囲から一斉に湧き上がるような拍手が起きた。見ている誰もが、敵も味方もなく奮闘したメカニックに賞賛を送っている。チームの女性から周囲に「ありがとうございます」の声が掛かる。これ以上見ていると、この場で泣いてしまいそうだったので、人垣を離れ、次の高山短大のサービスを探した。

こちらはこれまた大変な状況で、午前中の札内スーパーSSでヒットしたらしくフロントの左フェンダーが凹んでいる。高山短大OBの整備をする掛け声が響き、テキパキと作業が進められる。ここでも群集からの拍手が沸きあがった。
やっと一息入れようかと、会場のコンビニ出店で「カラ揚げくん+ピザまん」を購入し、車へ戻って慌しくLUNCH。早朝というよりは夜中に食べた朝食以降何も食べていなかったので、ジャンクフードだろうが何だろうが異常においしい。
対面で地元警察の車両が待機しており、中から警察管が退屈しのぎに、こちらの昼食風景を観察しているけれども気にしない。やがて車に戻ってきた坂本さんから「ゴール前の場所取りが始まっているよ」と聞いて、椅子を持って私も走る。行ってみたけれども、なんかもうスゴイ人。前列の頭と頭の間からギリギリゴールが狙える場所に椅子を置いて座ってみるも、ここは場所取りをしておいてペターの帰りを待とうとスバルテントへ。
【右手は2度と洗わない?】
椅子はないので、立ったまま2時間経過。その間、隣りのご夫婦の赤ちゃんにカメラバックの上にヨダレを垂らしていただいたり、髪を引っ張られたりしつつ待っていると、テントの中から"ワ〜っ"という歓声。それを聞いてギャラリーも"ワ〜っ!"。続いて背後のローブのテントから"ワ〜っ"。待っている人垣を見ていると圧倒的にスバル、特にペターの前の層が厚い。真正面は熱心なファンでほとんど青一色。
テントから出てきたスバルガールが旗の配布を始めたので、周囲の青化は一掃進む。私も今日はただの熱狂的ラリーファン。旗を振って待っていると向こうからゆっくりとソルベルグの車が帰還してきた。青いスバルの旗を縫うようにして進んでくるその姿はフィルムの一コマのように脳裏に焼き付くシーンとなり、ピットインして車を降りたペターはスタッフや家族とひとしきり喜びを共有した後、何と自ら柵をどかして待っていたファンの前に駆け寄ってきてくれた。走りながら手を延ばしたファンにタッチして去って行く。
忘れもしない15:05、私も生ペター様を触ってしまった! 後ろから自分も自分と手を延ばすファンで目の前の柵が45°に傾き、あぁこうやって圧死事故って起こるのねなんて冷静に考えながら何とか転倒は免れた。
【感動的なゴールの写真を収めようなどという妄想はあっけなくも崩れ】
一通りの騒ぎが収まってから、セレモニアル・フィニッシュまであと30分ちょっと。
置いてきた椅子は無事かな〜っと先程の場所に戻ってみると・・・。
フォーメーションが変わっている〜! 椅子を置いた目の前にあった目印の白いテントなんてどこへやら、それどころかもうどこにゴールがあるのかわからないような人・人・人! ポディユムを降りてからの道幅が細くなる、そのちょうど絞られる辺りに人が集中していて、一番後ろで折り畳み椅子の上に乗っかってセリカクラブのメンバーがプルプルと手を延ばしてカメラを構えているのが見えた。
声を掛けて、椅子を紛失した私は脚立代わりになるものもなく、写真もゴール見学もあきらめて、二人してほとんど捨てた状態でコースを渡って向こうのショップ・ブース側へ移動する。
エキシビションではいまいち興奮できず、目の前を通過していく車なんて全く見えずで、私達はスッカリ雑談モード。
ソルベルグだけは見ておこうかって、だいぶ後ろの方の観客が薄くなっている背後へ立ち、友達は折り畳み椅子の上に立って、せめて1枚だけでもとカメラを構えている。…と、バキッという音と共に滑落。100円均一パイプイスを足台に使おうという発想はどうやら危険だったらしい。選手がみなさんの前を通過します、というアナウンスに目をこらしていると、なかなか来ない。
二人で「車を降りて歩いてるんじゃないの〜」と笑いながら冗談を言っていたら、本当にトップドライバーが塊で歩いてきた。遠足のようなほのぼのとした雰囲気に、笑えてしまって声援も忘れて見送るばかり。
ワークスが去っても人の波は耐えることなく、3日間の死闘をくぐりぬけてきた選手に惜しみない声援を送っている。全日本ラリーで見慣れた選手が、あんなに盛り上がっている所を見たことがなかったけれども、窓からほとんど上半身を乗り出さんばかりにして観客に手を振っている。観客の方もワークス・プライベーター関係なく、手を伸ばして交流を図り、グッズをバラまいていくチームには大喜び。選手も箱乗りしたりで、その様子を後ろから風景として眺めていた自分には、本当にいい光景だなぁ、ラリー独特の絵だなぁとまたしても感激。
DJの「本当のラリーファンは、最後まで残ったあなた達です!」の声に、ゴール直線上ギャラリーからは大歓声。
【見たか!ただのギャラリーの執念!】
何となくこのままでは終われない気分。そう、「ソルベルグのサイン、もらってないじゃん!」。北海道ホテルに行ってみた。
中へ入ると"2F/フェアウェルパーティー"の看板。BINGO!
2Fへ上がって会場を覗くと、正装もしくはチームシャツの関係者で賑わっている。
見慣れたカメラマンの顔もあって、私達は奥へ進むことできず1Fロビーへ。
ティーラウンジ横に椅子が置いてあったので、腰掛けようとした瞬間、ラウンジの中を見ると、そこにいるのはスバル関係者だった。えっ!あれっ?ヒルボネン! ラウンジの入口近くで立ち話をしている。さすがに中へ入ることはできなかったので、柱と観葉植物の隙間からストーカーしてチャンスを伺っていると、ヒルボネンが話を終え一人に。
チャ〜ンス! 「Mr.HIRVONEN!」と声を掛けたが聞こえなかったようで、立ち去りかけたその背中に、後ろのメンバーが一声「ミッコ!」。その声で振り向き、無事サインをGetすることができた。続いて入口近くに登場したのがソルベルグ。声を掛けて、サインを頼む。
先程坂本さんが手に入れてくれた、3日間私の手をすり抜け続けた幻のゼッケンNO.1の帽子がここに登場!
「May I give your autograph?」
「Of course!」
「Thank you」
「No problem!」
9月5日(日)快晴
【また必ず来年も訪れます、帯広!】
7:00過ぎに坂本さんを呼びに行く。滞在中、初めて使う朝食券。向かい合わせで朝食を取っていると、あれほど待ち望んでいたラリージャパンも確実に終息に向かっている気配がヒシヒシ。あぁぁ〜耐えられない。
部屋へ戻って荷物をまとめ、ホテルをチェックアウトする。エレベーターで、NO.102のヴィッツ井上嬢が乗り合わせてきた。
体は大丈夫、少しの笑顔で「あと500mでゴールという地点でリタイアだよ〜」というセリフが妙に堪えた。ゴール目前ってどんな気分だろう、ヤバイ、気持ちがオーバーラップしてくる。
外へ出ると夕べ止めてあった新井さんの車は跡形もなく、みんな解散していくんだなってまた寂しい気分。
途中、田んぼの真ん中にポツンとある、臭うニッポンレンタカーで手続きを済ませ、お店の人に乗ってきた車そのままで空港へ送ってもらう。搭乗手続き、手荷物預けを済ませて、先に出発の坂本カメラマンを見送る。
WRCが日本で開催されるらしいと聞いてから、心待ちにしていた1年弱の間。ラリージャパンは、あっけなく終わってしまった。
虚無感を伴う寂しさを残したまま、たくさんの思い出と共に幕を閉じたのでした。
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