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7月24日(日)晴
4:00起床。頭がボ〜っとしてあまり食欲はなかったが、それでも何か口にする。
5:00出発。6:00に昨日と同じ足寄道の駅「足寄湖」で休憩をし、7:00にSS10「SIRPEKER 1」入り。RoadBookで見た白黒写真の雰囲気から、ニュージーランドのような光景を想像していたが、意外に本州でも見掛けるような普通の林道だった。
下りストレートから緩い左コーナーに進入。そこのコーナーの少し先のアウト側に私達は構えた。埃対策にバンダナを顔に巻き、帽子を被った上からネズミ男のようにパーカーのフードの紐を顎で縛り、ここが街中であれば間違いなく変質者扱いだ。いつも思うがウッカリ目の合ってしまったドライバーを驚かせているのだろうか。
新井選手は7:10に現れた。後光のように広がる砂埃に、車体を斜に構えながら登場するとナカナカ絵になっているが、そこからストレート部分の動きはあまり期待できず、2回目のポイントというと目の前のコーナー進入時だが、そこまでカメラで追ってしまうと、その後の飛石が避けられるか自信がない。特に前回の東京ラリーで顔に石を食らっているので、ビビリが入り、体が引けながら撮るのでブレている…。
それにしても上位レギュラーメンバーの何人かが抜けてしまった全日本は、待っていても見慣れた車は登場しないと思うと悲しいものがあった。
【撮影最終SSでは満足の構図】
次に向かうのはSS13「UWEPEKER 2」。機材を持って撮影ポイントへ着くと、オフィシャル車の前に張られたコースロープ脇には海外メディアの姿があった。その横の崖上へ目をやると、横ズラっと一列に並ぶプレス集団。そこまで登れるとは思えなかったので、崖下でカメラを構えていたが、そこは危ないらしく、結局はプレス集団の仲間入りをさせてもらう。
モワッとした熱気が立ち上ってきて、妙にアンモニア臭がするのは何故だ? 目の前の草むらと背後の藪から交互に虫が寄って来て追い払うのも面倒なぐらい。絶え間なく汗がダラダラと流れては来るが、過酷な天候もファインダーを通して見れば緑濃い木々と青空の対比でいい感じ。狙うのは正面に見えるコーナーだが、Rがきつく、路面も荒れているので迫力は満点。アジパシの若いゼッケンNo.を見ていると、前輪の巻き上げた砂で後輪が隠れてしまう程だ。風向きで、まともに砂埃を浴びたり、逆方向に流れてくれたり、襲われると思いつつ直前でピタッと止まってしまったり。襲撃に会った直後は、皆一斉にカメラの埃を口やブロワーを使い吹き飛ばしている。機材も体の汚れも最高潮。黒いポロシャツを着てアブを追い払っていた坂本さんに至っては、次の被写体を狙って静止した瞬間、「痛ぁー!」と言う絶叫と共に、咬まれてしまったらしい。
合間合間のプレス同士の会話は、"ラリー界勝手な想像話"やプチ裏話で盛り上がり笑いが止まらず、ところが私には聞こえないような距離で既にエンジン音を捉え、カメラを構える切り替えの上手さは流石にプロだと見習いたいところ。
そして誰がどのワークスや媒体の専属で仕事をしているかは、シャッターを切る回数から推測できる。
これで全てのSS撮影が終了してしまった。残すゴールを撮ったら3日間のイベントも幕を閉じてしまう。音更へと向かう車窓から、地平線まで続く金色の麦畑と、その上に広がる晴天で二分された光景を眺めながら、確実に終わりへと向かっていることを実感した。
表彰式の前に道の駅「おとふけ」へ寄り、14:30頃少し遅い昼食を摂る。2Fの食堂へ上がると、「豚トロロ丼(¥1,050)」が売りのようなので、これを注文。初めて食べる組み合わせであったが、これはイケる!
【ラリー車を真っ向から狙い撃ちのメディアスタンドに感涙】
「音更サービスパーク」へ着くと、もう表彰式の準備が始まっていた。ポディウムの脇には整然とシャンパンが並べられ、私達もメディアスタンドで完走車を迎え撃つ準備。15:30、流鏑馬の馬と騎手がポディウムを通過し、この後いよいよアジパシ3位からの登場だ。最初に姿を見せたのは柳沢選手の漆黒インプレッサ。続いてJussi選手のランサー。アジパシ頂点に立つのは田口選手。
2001年のアルペンラリーから、痛恨のリタイアにより田口選手のポディウムでの写真を撮る機会に恵まれず、今回は貴重なショットになる。全日本選手権の表彰台は各クラスの優勝者、Aクラス=平塚選手、Bクラス=原口選手、Cクラス奴田原選手。
過酷な戦いであった分、シャンパンを開けて笑う顔は本当に楽しそうだ。全完走車が目の前を通過して行き、この会場を後にすればいよいよラリー北海道も終わりになる。メディアセンターへ向かい歩いていると人だかり。中を覗くと、田口選手と新井選手が並んで話しているのが見えた。最後の最後までこの黄緑色のベストをフル活用しようという庶民根性、折角なので正面に回り特権ポジションで写真を撮らせてもらうことができた。
メディアセンターで、お礼を言い、お世話になったタバードを返却する。後片付けの始まったサービス会場は、夕日を浴びて青春の一コマのような映像だ。ラリーが終わってしまうと、これからドラマの始まるLEG1のように、はしゃぐ気にもなれず帯広へと向かう車中は何となく無口になってしまう。ホテルへ荷物を置いて夜の市内へ夕食に。入ったお店は気が付くと昨年のラリージャパン時にも飛び込んだ居酒屋だった。部屋へ戻り布団へ入るが、明日目覚めてももうラリーの予定はない。
【帯広とはラリージャパンまでしばらくのお別れ】
7月25日(月)晴
7:30起床。TVを付けると日本列島に台風が近付いて来ているらしい。気象予報では"今日の峠情報"なんて言っている。
峠!? つい走り屋を想像してしまうが、もちろんそうではなく天候による道路状況だった。
今日はまずメディアセンターへ顔を出して、リザルトブックを受け取ってから帰るとの坂本さんの話に、まだラリーに関係する場所へ行けるのかと思うと嬉しくなった。
音更のメディアセンターへ着くとまだ早かったようで、人影もまばら。プレス担当者と雑談していると、他のプレスの顔も見え始めた。
サービス会場では積車に乗ったラリー車や、まだ片付けられていないテントなど、名残の光景が見られる。航空機の時間が13:25だから、直行するには早いし、どこかへ観光に行くほどの時間もない。考えて、とりあえずはここメディアセンターと空港とのルート上にある、名称からは全く得体のわからない「グリュック王国」へ寄ってみることにし、出発した。
「帯広空港」への案内板が見え出す辺りで、坂本さんが「ガソリンは大丈夫?」と聞く。見るとガソリンの警告等が付いていた、慌てて先にあったスタンドへ飛び込む。坂本さんが店員に聞いた話によると、「グリュック王国」は既に閉鎖しているとのこと。
あれ。急遽、目的地を帯広空港近くの田中義剛牧場へ変更。二人とも場所を知らず、頼りは坂本さんの勘のみ。帯広空港を過ぎると牧場の点在するエリアに入ったが、義剛牧場の看板は見当たらない。
「花畑牧場と書いてあるのが多分そうだよ」と言う言葉を信じて進めると、あった! 平日にしては観光バスや一般客の車が多く感じられる。可愛らしい外見で、ログハウスをバックに記念撮影をしている女性もいる。昼食を入れて1時間程は滞在できるかな? 中に入りカウンターでメニューを見ると、どれも美味しそうでどれか一つを選択することが難しいが、他は泣く泣くあきらめ"トムチーズ山盛りパスタ(¥800)"に絞り、いざ食してみると・・・、濃い! チーズが濃厚で、しかしクドさは全くなく最後まで食べ始めた時の感激を残しつついただくことができた。すっかりミーハー観光客のようにお土産を両手にぶら下げ、足はレンタカー会社へ。返却と同時にそのままティアナで空港まで送ってもらう。
12:10、絶妙の時刻に到着。坂本さんの方が早い便なので早々にお別れをし、私も土産物屋を一周し更に荷物を増やしてから、ボディーチェックを受け搭乗ロビーへ。さすがにラリー関係者ばかりで、後から坂本さんに聞いた話では新井選手の姿もあったらしい。
待合室の窓からは、予定時刻が変更され自分の便より後の出発となった羽田行きのジャンボが凛々しく待機している様子が見える中、こちらの機内案内が先になった為、ポツンと離れて置かれている行きと同じコミューター機へ歩いて向かって行く。
ジャンボの横で、しかも多くの関係者の見守る中、タラップを登り機内へと吸い込まれる恥ずかしさと言ったら。
小型機ならではの揺れで名古屋空港へ到着する頃になると、窓に雨が当たるようになって来た。
それでもやはり無事の着陸後は、空港建物から離れた場所で降ろされ、タラップの下で女性職員に傘を手渡され歩いて行くらしい。
気が付けばまた見慣れた風景の自宅にいて、つい先程まで北海道にいたとは思えないようなあっけなさで今回のラリーも終わってしまったのだった。
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